稠密な部分空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/11 09:20 UTC 版)
この節では 1 ≤ p < ∞ を仮定する。 (S, Σ, μ) を測度空間とする。S 上の可積分単関数 f は f = ∑ j = 1 n a j 1 A j {\displaystyle f=\sum _{j=1}^{n}a_{j}\mathbf {1} _{A_{j}}} の形式で記述される。ここで、j = 1, …, n に対し、aj はスカラーであり Aj ∈ Σ は有限測度を持つ。積分の構成法により、可積分単関数のベクトル空間は Lp(S, Σ, μ) において稠密であることが分かる。 S が距離化可能空間で Σ がそのボレル σ-代数、すなわち開集合を含む S の部分集合の最小の σ-代数である場合には、さらに多くのことが分かる。 V ⊂ S を μ(V) < ∞ であるような開集合とする。V に含まれるすべてのボレル集合 A ∈ Σ およびすべての ε > 0 に対して、次を満たす閉集合 F と開集合 U が存在することが分かる: F ⊂ A ⊂ U ⊂ V and μ ( U ) − μ ( F ) = μ ( U ∖ F ) < ε . {\displaystyle F\subset A\subset U\subset V{\text{ and }}\mu (U)-\mu (F)=\mu (U\setminus F)<\varepsilon .} S 上で連続な φ で次を満たすようなものが存在することが分かる: 0 ≤ φ ≤ 1 V and ∫ S | 1 A − φ | d μ < ε . {\displaystyle 0\leq \varphi \leq \mathbf {1} _{V}{\text{ and }}\int _{S}|\mathbf {1} _{A}-\varphi |\,d\mu <\varepsilon .} S が有限測度を持つ開集合の増加列 (Vn) により覆われるなら、p-可積分な連続函数の空間は Lp(S, Σ, μ) において稠密である。より正確には、その開集合 Vn のどれか一つの外側で消失する有界連続函数を利用することが出来る。 これは特に S = Rd かつ μ がルベーグ測度であるときに応用される。連続かつコンパクトな台を持つ函数の空間は Lp(Rd) において稠密である。同様に、可積分階段函数の空間も Lp(Rd) において稠密である。この空間は、d = 1 の時は有界区間の、d = 2 の時は有界長方形領域の、より一般的な場合には各有界区間の積の、指示関数により張られる線形部分空間である。Lp(Rd) 内の一般的な函数の性質は、はじめは連続かつコンパクトな台を持つ函数(しばしば階段函数)について証明され、そののちにすべての函数へと拡張された。例えば、平行移動(translation)が次の意味で Lp(Rd) 上で連続であることが、この方法で示された:すべての f ∈ Lp(Rd) に対し ‖ τ t f − f ‖ p → 0 {\displaystyle \|\tau _{t}f-f\|_{p}\rightarrow 0} が、t ∈ Rd が 0 へ向かう時に成立する。ここで τ t f {\textstyle \tau _{t}f} は ( τ t f ) ( x ) := f ( x − t ) {\textstyle (\tau _{t}f)(x):=f(x-t)} と定義される平行移動された函数である。
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