破壊検査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 12:14 UTC 版)
接着力を評価するには、実際に被着材を接着したものを剥がす破壊検査を行なう。接着剤と被着材それぞれの種類や接着条件によって強度は大きく左右されるため、複数の接着剤を評価するに当っては同一の被着材および条件下で接着した検体を準備しなければならない。 接着時の破壊検査方法はJIS K6848にて規定される。破壊検査は、試験サンプルに加える力の方向により3種類に大別される。 引っ張り - 接着面に対し垂直方向の応力をかける。 剪断 (せんだん)- 接着面に対し平行方向の応力をかける。 剥離(はくり) - 被着材を引き剥がす。 接着剤の破壊箇所は、一般に以下の3箇所が混合する形で起こる。図は被着材が同一の場合を示しており、異なる材質を接着するケースでは破壊は5箇所の混合となる。これら破壊は一様には起こらず、接着剤の厚さ・破壊検査の方法・サンプルの寸法・破壊速度・寿命・温度や湿度などの外的条件により左右されることを念頭に置かなければならない。これら破壊箇所の判定は基本的に観察手法に依存する。 凝集破壊 (cohesive failure) 硬化した接着剤層が破壊する。この場合、接着剤が要求強度を満たしていない場合が多く、種類の選定または接着時の条件を適正にする必要がある。 接着破壊(interfacial failure、界面破壊) 接着剤層と被着材層との境界面が破壊する。この場合、接着力そのものが不充分と考えられる。種類選定または接着条件の適正化とともに、被着材の表面状態についても考慮する必要がある。 基材破壊 (adherend failure) 被着材そのものが破壊する。この場合、接着剤および接着力は充分な強度を持っており、むしろ被着材の強度を検討する必要がある。
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