相変異などとの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/11 15:25 UTC 版)
このような事例は、往々にして相変異の一つと考えられてきた。特に、その変化が個体群密度に依存し、密度が増加するにつれて、さかんに移動する型が出現する、という点では共通している。しかしながら、典型的な相変異である飛蝗の例と比べると、以下のような重要な差異がある。 個体群の一部が変化すること:いわゆる相変異の場合、その集団のすべての個体が一様に変化するのに対して、翅多型の場合、普通は両方の型に分かれて出現する。その結果、前者では全個体が移動を行うのに対して、後者では一部個体が移動する。 中間型がないこと:相変異の場合。数世代を経て次第にその姿を変えるので、両方の形の典型的なものの間に、様々な中間型がある。これに対して、翅多型の場合、個々の個体がどちらかになり、中間型はほとんど見られない。 集団行動を取らない。相変異では移動型個体は集団行動をする傾向が強く、一定方向へ全体が移動するのに対して、翅多型ではそのようなことは見られない。 これらの違いは、この二つの現象の意味の違いによると思われる。相変異の見られる昆虫は、乾燥地帯の草原に多く、そのような場所で、繁殖に適した場所を求めて集団で移動するような生活史を持つらしい。それに対して、翅多型の場合、全体としての移動を伴わず、より局所的な範囲での移動に関わるもののようである。
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