皮膚病理所見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 05:00 UTC 版)
皮膚筋炎の皮膚病変の組織学的な変化は飛石状に断続的に認められる場合があるため、生検標本は比較的大きめにとり、有意な所見が認められない場合には複数の切片から標本を作成する。皮膚筋炎の皮疹の病理組織像として共通する基本的な所見は、表皮基底層の液状変性、真皮の血管周囲を中心とした炎症細胞浸潤、真皮のムチン沈着である。これらの所見は皮膚筋炎に特異的ではなく全身性エリテマトーデスとの皮膚病理所見で鑑別は困難である。 表皮基底層の液状変性 表皮基底層の液状変性とは基底層の角化細胞が空砲状に変性をきたした状態であり、皮膚筋炎の組織像の特徴的所見のひとつである。アポトーシスに陥った表皮細胞が好酸性のコロイド小体として認められることもある。このような変化は皮膚筋炎特異的ではなく、全身性エリテマトーデスや扁平苔癬でも認められる。 真皮炎症細胞浸潤 炎症細胞が真皮浅層の血管周を中心に散在性あるいは帯状に分布する。浸潤細胞の多くはCD4陽性T細胞であるがCD8陽性T細胞、マクロファージ、形質細胞様樹状細胞なども混じる。抗合成酵素症候群例では表皮内にCD8陽性T細胞が多く浸潤する。 真皮のムチン沈着 真皮にムチンが沈着するためHE染色で真皮の間質がやや好塩基性の紫がかった色を呈する。アルシアン青染色などでも確認できる。
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