帝室制度史
『帝室制度史』(ていしつせいどし)は、帝国学士院によって編纂された日本帝室制度の基本的な研究書。
続編は、第二次世界大戦後に宮内庁書陵部編纂の『皇室制度史料』(こうしつせいどしりょう)に改め、現在も吉川弘文館で刊行中である。
概要
1920年1月に皇室より帝国学士院に対して学術奨励を目的として1万円が下賜された。これに対して学士院では、1万円の一部を皇室に関する諸制度の本質・意義を明らかにする帝室制度の研究に用いる院議がなされた。そこで岡野敬次郎・三上参次・美濃部達吉を担当委員、和田英松・五味均平・山本信哉を調査嘱託員として、調査嘱託員のもとに歴史学者を結集させ史料の採集・編纂などの研究事業にあたることになった。
途中、担当委員・調査嘱託員の死去などにより補充が行われ、前者には服部宇之吉・辻善之助・穂積重遠・久松潜一が、後者には諸橋轍次・龍粛・芝葛盛・坂本太郎などが任じられた。
1938年3月に第1編第1巻が発行(ただし、奥付は前年3月の日付となっている)され、太平洋戦争下の1945年3月までに以下・6巻が発行された。
1949年に帝国学士院が日本学術会議の下部組織(日本学士院)に変更され、同年に宮内府図書寮に移管され、更に宮内府図書寮も宮内庁書陵部となるなど、安定した編纂体制が確立されるに至らず、一時中断した。
昭和後期の1978年に『皇室制度史料』に名称を改め、編纂刊行が再開された。翌年に『帝室制度史』も吉川弘文館で、全6巻組が旧版復刻された。
2013年までに『皇室制度史料』太上天皇編3冊、摂政編2冊、皇族編4冊、后妃編5冊、儀制誕生編4冊、儀制成年式編3冊が刊行された。2023年までにさらに5冊が刊行された(菊葉文化協会発行、吉川弘文館販売に移行)。
帝室制度史は章・節・款に分けられて各款に本文が記されて、関連史料が配列されている。時代的な制約はあるものの、厳密にして考証が尽くされた本文と豊富な史料収集によって今日まで皇室の歴史的な研究を行う上での基本的な文献とされている。これは皇室制度史料にも継承されている。
史料
- 日本学士院編『帝室制度史』全6冊 吉川弘文館、1979年。日本学士院編、昭和12~20年刊の複製 書誌ID(NDLBibID)000001440230[1]
- 日本学士院編『帝室制度史』第1巻[2] 吉川弘文館 オンデマンド版 2021年10月 ISBN 9784642710657
- 日本学士院編『帝室制度史』第2巻[3] 吉川弘文館 オンデマンド版 2021年11月 ISBN 9784642710664
- 日本学士院編『帝室制度史』第3巻[4] 吉川弘文館 オンデマンド版 2021年11月 ISBN 9784642710671
- 日本学士院編『帝室制度史』第4巻[5] 吉川弘文館 オンデマンド版 2021年11月 ISBN 9784642710688
- 日本学士院編『帝室制度史』第5巻[6] 吉川弘文館 オンデマンド版 2021年11月 ISBN 9784642710695
- 日本学士院編『帝室制度史』第6巻[7] 吉川弘文館 オンデマンド版 2021年11月 ISBN 9784642710701
参考文献
- 後藤四郎「帝室制度史」(『国史大辞典 9』(吉川弘文館、1988年) ISBN 978-4-642-00509-8)
- 米田雄介「帝室制度史」(『日本史大事典 4』(平凡社、1993年) ISBN 978-4-582-13104-8)
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