痒みの意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 18:47 UTC 版)
痛みの意義については、外からの危害を避けるための無意識的な反射活動と捉えられている。痒みも、従来は痛覚神経が反応して起きると考えられており、痛みと同様にその防衛反射をさらに補強するものと思われていた。言わば痛覚の軽微なものが痒みであり、掻く事で痒みが抑えられるのは、明確な痛覚を与えるためと考えられていた。 しかし2009年、痒みが痛みとは独立した神経経路をもった感覚であり、痛みには反応しない大脳の頭頂葉内側部の楔前部で反応が起きていることが発見された。痒みに対して掻くことで、症状を一層悪化させる。身体に危機を発する痛みと異なって、痒みの意義については不明であり、現代医学の限界点である[要出典]。 痒みを引き起こす代表的な原因物質であるヒスタミンが、痛みの神経を活動させたり、ブラジキニンやカプサイシンなどの痛みの原因物質が痒みの神経を活動させることがわかっており、痒みと痛みは非常に複雑に関係していると考えられているが、これらがどのような経路(内側毛帯路、脊髄視床路、皮質脊髄路など)で伝えられるか、同じく頭頂葉にある一次体性感覚野を含む中心後回との関連性は未だ解明されていない。 特に、掻く事で痒みが抑えられる理由については、かつては上述の通り痛覚との関連で説明されていたが、2009年に否定されてしまったため、不明になってしまった。痒みに過剰に反応してしまい、痛いと自覚するまでに自身を自傷してしまうことがある、痒みが引っ掻き反射行動を自律的に起こすことができる体の部位に限定されている、などの理由の説明はついていない。
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