生活句
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 21:51 UTC 版)
一茶は北信濃の農民の出で、江戸での奉公生活、安定しない俳諧行脚による生活と、生活の苦労を肌身に感じながら生きてきた。また華やかな大御所時代の影で都市や農村で生活苦にあえぐ人々の姿も身近に感じていて、そのような人々の姿を句に詠んだ。一茶が詠んだような厳しい生活苦、人生の矛盾を詠んだ俳人はそれまで皆無であった。 麦秋や子を負ひながらいわし売り この句には「越後女旅かけて商いする哀れさを」との詞書があり、麦が実る夏、越後から子どもを背負いながら鰯の行商に来る女性の姿を詠んでいる。夏、子どもを背負いながら越後から信濃まで鰯の行商に向かうという厳しさ、いたましさとともに、母親の逞しさまでも描き出した句である。 その一方で とうふ屋が来る昼顔が咲きにけり のような句も詠んでいる。昼時になってとうふ屋がやってきた、昼顔の花が咲いているなあと、庶民の日常生活の一こまを表現している。このようなありのままの庶民生活を詠んだ句も、一茶が新たに開拓した生活句であった。
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