生体膜とコレステロール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 21:45 UTC 版)
「コレステロール」の記事における「生体膜とコレステロール」の解説
リン脂質から人工的に製造した脂質2分子膜は電気容量、屈折率、水との界面張力が実際の生体膜とよく類似するが、生体膜と異なり相転移温度Tcを持つ。すなわちTc以上では流動性を示すが、Tc以下では硬くなり流動性を失う。 これに30–50 mol%のコレステロールを加えると流動性はさらに増し、しかもTcが消滅することが知られている。脂質2分子膜上では次のように埋め込まれる。すなわち、親水性を示すコレステロールのヒドロキシ基は外向きに配置されリン脂質の燐酸基部分と水素結合する。そして嵩高いステロイド骨格と炭化水素側鎖は内側のリン脂質の脂肪酸鎖の間に埋め込まれる。 コレステロールは細胞内膜系にも普遍的に存在するが、ミトコンドリアの脂質膜には例外的にほとんど含まれていない。 コレステロールは高等動物の細胞膜の必須成分であるが、植物の細胞膜には別のステロールであるフィトステロール類(シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロールなど)が含まれ、真菌ではまた別のステロールであるエルゴステロールが含まれる。一方細菌の細胞膜にはコレステロールは含まれない。代わりに一部の細菌はホパノイドと呼ばれる構造的に類似した化学物質を利用している。
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