瓶詰から缶詰へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 15:15 UTC 版)
遠征における食料補給の問題に悩まされていたナポレオン・ボナパルトによる懸賞に応え、1804年にフランスのニコラ・アペールにより長期保存可能な瓶詰めが発明されたが 、ガラス瓶は重くて破損しやすいという欠点があった。 ビン詰めの欠点を改善するため、1810年にイギリスのピーター・デュランド (Peter Durand) が、金属製容器(ブリキ缶)に食品を入れる『缶詰』を発明した 。これにより、食品を長期間保存・携行することが容易になった。ただし、初期のものは殺菌の方法に問題があり、たびたび中身が発酵して缶が破裂するという事故を起こしている(これは後に改良された)。また、密封用のはんだに鉛が多量に含まれており、食べた人が鉛中毒で死亡する事故もあった。 1812年には、ブライアン・ドンキン (Bryan Donkin) とジョン・ホール (John Hall) がデュランドの特許を基にイギリスに世界初の缶詰工場を建設、翌1813年から陸海軍に納入を開始した。当初は手作業によって封をはんだ付けしていたため、一人当たり1日に60~70個しか生産できなかった。1833年にはフランスのアンシルベールによって、缶の蓋の周りをはんだ付けし、熱で溶かして缶を開ける方式が考案された。 缶詰は、初期には主に探検家の携行食や船舶用の非常食、軍用食として活用された。特にアメリカ合衆国の南北戦争で多く利用された。後に一般向けにも製造されるようになり、現在では、災害対策用の備蓄用食品(非常食)としても利用されている。
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