現代のインキピット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 08:23 UTC 版)
インキピットという言葉を古文書学以外の世界で目にすることは少なくなったが、それでもいまだにインキピットを用いる習慣は残っている。たとえば詩歌で題名のないものはインキピットで呼ばれる。シェイクスピアのソネット55番を「大理石でも純金でもないモニュメント」("Not marble, nor the gilded monuments")と呼ぶことがそれにあたる。 他にもローマ教皇庁から出される教皇勅書などの公文書は正文がラテン語版であり、題名としてインキピットを用いている。たとえばヨハネ・パウロ2世の1996年の回勅『いのちの福音』の原題は「Evangelium Vitae」であるが、これはラテン語本文冒頭の二語(インキピット)である。 過去のものとなったかに見えるインキピットだが、思わぬところで復活している。たとえばMicrosoft Wordをはじめとするワープロソフトで文書を保存するとき、利用者が題名を指定しなければ自動的に冒頭の数語をとって題名とする機能がついているものが多い。もし利用者がわざわざ題名をつけず、自動機能にまかせて文書を作成して一覧を見ればあたかもシュメール人の文書リストのようなものが見られることになる。
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