熊五郎の悪行(その……)、そして蔵へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 16:28 UTC 版)
「質屋蔵」の記事における「熊五郎の悪行(その……)、そして蔵へ」の解説
これも知らなかったという旦那。すると熊五郎、「じゃ、味噌のことで……」 呆れる旦那。 「そんなこと他の店でやると、手が後ろへ回る(捕縛される)よ」 「大丈夫。何か持ち出すのは旦那の家だけですから」 「勝手に決めるな」 まあ、それはそれこれはこれと、話を進めることにする。 「熊さん、強いんだってね」と言う旦那に、彫り物自慢を始める熊五郎。 そこで、早速例の話を持ちかける。すると、途端に熊五郎の態度ががらっと変わってしまう。 そう、人間相手なら腕っぷしの強い熊五郎もまた、化け物や幽霊といった類は苦手だったのだ。 いまさら帰ることも許されず、そのまま時は過ぎてただいまの時刻で夜の十二時時分、いきなり蔵へ入るのも気味悪かろうからと蔵の手前にある離れで、番頭と二人で番をしろと言う旦那。 お清がこさえてくれた夜食の膳を熊五郎が持ち、手燭の明かりを番頭が持ってこわごわ移動する。 気付けに飲もうという熊五郎だが、番頭は酒が飲めない。やむなく一人、側にあった大きな湯飲みで飲み始めるが、恐怖で感覚が麻痺していて酒の味がさっぱり分からなくなっていた。 「飲めないんだったら、膳の上のものどんどん片付けちゃったほうがいいよ。ことによるとこれがこの世の食いおさめになるかも」 「何でそんな事言うの」 番頭は熊五郎にお願いがあるという。何だと訊くと、びっくりして腰を抜かしちゃうからお化けが出てもいっぺんに「出た!」と言わずに、「で~」で踏ん張って、番頭が逃げ切った頃に「た~」 「そんな事言えるか」
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