火入れと火落ち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/24 18:18 UTC 版)
火入れをせず、日本酒のなかに火落ち菌を放置すると、安全醸造が保障されている現在でも過熟(かじゅく)になって、酒が酢のようになったり、老ね香(ひねか)を発したりすることがある。 火入れは加熱殺菌の一種であるが、酒質を損ねないために温度帯としては比較的低めである。明治時代に来日したイギリス人ロバート・ウィリアム・アトキンソンは、1881年(明治14年)に日本各地の酒屋でこの火入れの様子を観察し、西洋のパスチャライゼーションと異なり温度計のない環境で、杜氏が酒の表面に「の」の字がやっと書ける熱さとしてぴったりと華氏130度(約55℃)を充てることに驚きを表明している。その後、火入れの温度は火落ち菌の発見当時で約60℃、現在でも62℃から68℃を以って通例とする。ちなみに中国の紹興酒にも同様の工程があるが約85℃である。
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