漆の色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 09:07 UTC 版)
塗料としての漆の伝統的な色は黒と朱であり、黒は酸化鉄粉や煤、朱漆には弁柄や辰砂などが顔料として用いられる。黒漆と朱漆を用いて塗り分けることも行われる。 潤朱(うるみ)漆は、半透明な透漆に弁柄を用いて、焦げ茶色系統(栗色から小豆色までなど)を出す技法である。なお、数百年を経て褪色した黒漆が焦げ茶色になることもある。 江戸時代に入ってからは黄漆と青漆が開発された。黄漆は透漆に石黄を加えたものである。青漆は黄漆に藍などを加え発色させたもので、実際の色は青ではなく緑色である。伝統色の一つ「青漆(せいしつ)色」も深い緑色を指す。 金箔の上に透漆を塗り、金属光沢のある赤金色に輝かせる技法は白檀塗と呼ばれ、安土桃山時代の武将の甲冑にも例が見られる。 昭和以後は酸化チタン系顔料(レーキ顔料)の登場により、赤と黒以外の色もかなり自由に出せるようになった。 福井県工業技術センターが、漆と同量を混ぜることで、カラフルで透明感のある仕上がりになる塗料を開発するなど、漆を応用した塗料・塗装技術の研究は現在も進んでいる。
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