流通食品毒物混入防止法
別名:流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法
市場に流通する食品に対して毒物を混入するなどの行為に対する刑罰などを定めた法律。1984年から1985年にかけて発生したグリコ・森永事件を契機として、1987年に制定された。
グリコ・森永事件では、犯人による食品への毒物(シアン化ナトリウム)の混入が行われたが、死傷者が発生しなかったこと、毒入りであることを示す張り紙がされていたことなどから、傷害未遂、殺人未遂の罪の適用は困難とされた。しかし、そのような行為に対して適用される偽計業務妨害罪(刑法第233条)は軽すぎるとして、新たな法律の制定が望まれ、流通食品毒物混入防止法が成立した。
流通食品毒物混入防止法では、偽計業務妨害罪よりも重い罰則が定められている。第9条では、流通食品に毒物を混入・添加・塗布した者と、毒物を含む食品を流通食品と混在させた者に対して、10年以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が定められている。また、それらの行為で人を死傷させた場合は、無期懲役または1年以上の懲役という罰則が適用される。
製造業者が毒物の混入を知りながら警察などにそれを知らせなかった場合には、第4条および第10条の規定により、20万円以下の罰金刑が定められている。
関連サイト:
流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法 - e-gov
流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/04 06:26 UTC 版)
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流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法 | |
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![]() 日本の法令 | |
通称・略称 | 毒物混入防止法 |
法令番号 | 昭和62年法律第103号 |
提出区分 | 議法 |
種類 | 刑法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 1987年9月18日 |
公布 | 1987年9月26日 |
施行 | 1987年10月16日 |
主な内容 | 流通食品への毒物の混入等の処罰 |
関連法令 | 刑法、毒物及び劇物取締法、医薬品医療機器等法 |
条文リンク | 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法 - e-Gov法令検索 |
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流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法(りゅうつうしょくひんへのどくぶつのこんにゅうとうのぼうしとうにかんするとくべつそちほう、昭和62年9月26日法律第103号)は、流通食品(公衆に販売される飲食物で、医薬品・医薬部外品を除くと定義されている)への毒物[1]混入を防止することに関する日本の法律である。
法令番号は昭和62年法律第103号、1987年(昭和62年)9月26日に公布された。
概要
1984年・1985年に起こったグリコ・森永事件では、警察は殺人未遂事件として捜査した。しかし、シアン化ナトリウム入りの食品には全て「どくいり きけん たべたら しぬで」の紙が貼られていた。そこで、殺人未遂罪に当たらず、偽計業務妨害罪に留まるのではないかとの指摘があった。
本法は、上記の不備を補うために制定された。流通食品に毒物を混入したり毒物飲食物を流通食品に混入した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金とする。また、死傷させた場合は、無期又は1年以上の懲役とする。ただし憲法39条の遡及処罰禁止により、この法律はグリコ・森永事件の犯人には適用されない。
脚注
関連項目
流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法と同じ種類の言葉
措置法に関連する言葉 | 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法 沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法 湖沼水質保全特別措置法 |
固有名詞の分類
日本の法律 |
酒に関する日本の法律 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法 地方公務員等共済組合法 個人情報の保護に関する法律 |
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乳及び乳製品の成分規格等に関する省令 調理師法 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法 船舶料理士に関する省令 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律 |
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