水晶体脱臼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 04:42 UTC 版)
水晶体の位置異常のうち、後天的に生ずるものを水晶体脱臼(英:dislocation of the lens、独:Linsenluxation)という。外傷その他の原因によって起こるが、外力によるもののみを指す場合には特に外傷性水晶体脱臼 traumatic lens dislocation ともいう。眼球に外力が加わり、裂傷を伴うことなく前房内、硝子体内に脱臼(抜け落ちる)する場合、また、眼球破裂の結果として結膜下もしくは結膜外に脱臼する場合などがある。前房内の脱臼においては瞳孔閉鎖を生じ、緑内障を併発することがある。硝子体内の脱臼では、毛様体の刺激により虹彩毛様体炎を起こすことがある。 症状として、視力障害が現れる。治療に際しては、顕著な脱臼であれば水晶体を摘出する。 外傷によるもの以外では、骨格異常のマルファン症候群で水晶体偏位を伴うことが1914年、Boergerにより指摘されており、水晶体脱臼はマルファン症候群の診断上重要な症状の1つである。マルファン症候群の多くは常染色体性優性遺伝を呈する。 また、シスタチオニン合成酵素の欠損による常染色体性劣性遺伝疾患のホモシスチン尿症でも水晶体脱臼を呈する。
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