殻の模様と色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 05:10 UTC 版)
カタツムリにはさまざまな模様のあるものが多く、特に「色帯(しきたい)」と呼ばれる、殻頂を上にしたとき水平方向に走る帯状の模様をもつものが多い。このパターンは系統とは関係なく世界中のカタツムリに多く見られる。日本産のマイマイ属(Euhadra)では色帯の出る位置が決まっており、その位置は上から順に1-4の番号が振られ、帯がない場合は0で表記される。全部の色帯が出たものは1234、まったく色帯のないものは0000となる。この色帯も遺伝子に支配されていると考えられており、同一種の同一個体群内でもいろいろなものが見られることが多い。 また色帯と垂直に交わる色の濃淡が見られる場合があり、これは「火炎彩(かえんさい)」「虎斑(こはん)」、あるいは「トラマイマイ模様」と呼ばれる。これはニシキマイマイやハリママイマイ、ヒタチマイマイなどでよく見られる。模様の呼称の元となったトラマイマイはミスジマイマイの斑紋の顕著な一型とされ箱根山周辺地域に分布する。 カタツムリの色は一般に茶色系統のものが多く、特に日本産のものでは色彩の乏しいものが多い。しかし熱帯にはミドリパプアのような鮮やかな黄緑色や、コダママイマイやハワイマイマイのような鮮やかな模様をもつものなど、黄色や紫やピンクなど美しい色彩をもつものが多く、これらも生息環境に適応して進化した結果であると考えられている。また伊豆諸島に分布するシモダマイマイでは殻の色彩が同地域に棲むヘビの模様と呼応して変化しており、鳥などの捕食者に対するベイツ型擬態(Batesian mimics)ではないかという説がある。
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