死亡率とQOLの改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 08:58 UTC 版)
「超選択的気管支動脈塞栓術」の記事における「死亡率とQOLの改善」の解説
BAEの効果については単施設のrestospectiveな観察研究が大半で、わずかにフランスの医療ビッグデータを用いた記述疫学的研究があったのみであるが、2020年秋から2021年初頭にかけて、東京大学の康永研究室を中心とした共同研究により我が国のDPCデータベースを活用した画期的な論文が2本出版された。その一つが東大呼吸器内科のAndoらの研究であり、BAEによって、人工呼吸器装着重症喀血患者の院内死亡率(30日)が早期BAE群 7.5% vs 非早期BAE群16.8%と、早期(気管内挿管後3日以内)のBAEにより有意に院内死亡が減少することを世界で初めて実証した( odds ratio, 0.45; 95% CI, 0.28-0.73; p = 0.001) 。 また岸和田リハビリテーション病院 喀血・肺循環センターのOmachiらは、コイルでの待機的BAEにより喀血患者のQOL(生活の質)が有意に改善することを世界で初めて実証した(単施設前向き観察研究)。これは同センターの術者が、喀血患者においては時に喀血神経症と呼ぶべきほどの精神的ストレス状態にあること、これがBAEによって非常に改善され、大変強く術後患者が感謝の念を示されることを長年経験し、このclinical questionを論文化したかったと述べている。この研究では身体面と精神面の双方のQOLがBAE後に有意に改善しているが、特に後者において改善が強くみられ、彼らの臨床的観察と一致する。
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