権利一体の原則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 23:15 UTC 版)
権利一体の原則(けんりいったいのげんそく、all elements rule)は、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に記載されたすべての構成を備えた物または方法のみに限られるとする原則である。 例えば、 天板と、天板の四隅にそれぞれ設けられた4本の脚と、を有するテーブルであって、それぞれの脚の先端に設けられたゴム製の滑り止めを有することを特徴とするテーブル という特許請求の範囲の記載があったとすると、権利一体の原則が主張するのは、この各構成 (構成A)天板 (構成B)天板の四隅にそれぞれ設けられた4本の脚 (構成C)それぞれの脚の先端に設けられたゴム製の滑り止め をすべて兼ね備えた(構成D)テーブルにしか、特許権の効力が及ばない、ということである。したがって、特許権者が自分の発明の特徴を「それぞれの脚の先端に設けられたゴム製の滑り止め」と認識していたとしても、この特許権の効力は、「ゴム製の滑り止めを有する三脚テーブル」や「ゴム製の滑り止めを有する4本脚の椅子」には及ばない。「ゴム製の滑り止めを有する三脚テーブル」は構成Bを持たず、「ゴム製の滑り止めを有する4本脚の椅子」は構成Dを持たないからである。 なお、特許請求の範囲に記載されたすべての構成を備え、その他余分な構成を有する物または方法は、特許発明の範囲に含まれる。上記の例で言えば、構成A、B、Cを備え、さらに「引き出し」を有するテーブルは、特許発明の範囲に含まれる。ただし、出願人が「のみを含む」や「consisting of」という表現を使用して閉鎖クレームとした場合は、この限りではない。
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