標準ボレル空間とクラトフスキーの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 03:06 UTC 版)
「ボレル集合」の記事における「標準ボレル空間とクラトフスキーの定理」の解説
以下は、ボレル空間に関する数あるクラトフスキーの定理のうちの一つである。ボレル空間というのは、はっきり決まった完全加法族を備えた集合の別名であり、用語を流用してその完全加法族に属する元を、このボレル空間のボレル集合と呼ぶ。ボレル空間の全体は、ボレル空間の間のボレル可測写像を射として圏を成す。ここに、写像 f : X → Y {\displaystyle f\colon X\to Y} がボレル可測であるというのは、 Y {\displaystyle Y} の任意のボレル部分集合 B {\displaystyle B} に対して逆像 f − 1 ( B ) {\displaystyle f^{-1}(B)} が X {\displaystyle X} においてボレルとなることをいう。 定理 (Kuratowski). X {\displaystyle X} がポーランド空間、即ち X {\displaystyle X} の位相を定める X {\displaystyle X} 上の距離函数 d {\displaystyle d} が存在して、 X {\displaystyle X} が d {\displaystyle d} に関して完備な可分距離空間となるものとする。このとき、 X {\displaystyle X} はボレル空間として、(1) R {\displaystyle \mathbb {R} } , (2) Z {\displaystyle \mathbb {Z} } , (3) 有限空間、の何れか一つに同型である。 (この結果はマハラムの定理を髣髴とさせる)。 ボレル空間として考えるとき、実数直線 R と、R に可算集合を合併させたものとは、互いに同型である。 標準ボレル空間 (standard Borel space) とはポーランド空間に付随するボレル空間を言う。 標準ボレル空間は(同型を除いて)その濃度によって決まること、および任意の非可算標準ボレル空間は連続体濃度を持つことに注意せよ。 ポーランド空間の部分集合に対して、ボレル集合はポーランド空間上で定義される連続単射の像として得られる集合として特徴づけることができる。しかし、単射でない連続写像の像は必ずしもボレルにならない(解析集合を参照)。 標準ボレル空間は、その上の任意の確率測度に関して標準確率空間となる。
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