椿落つかたづをのんで他の椿
| 作 者 | |
| 季 語 | |
| 季 節 | 春  | 
| 出 典 | |
| 前 書 | |
| 評 言 |  「金儲けの秘訣を教えてくれ」と頼んで難しい金融理論を述べられても困るだろう。「利子を取られる側ではなく利子を取る側になれ」といわれたらおおかたは納得するはずである。ことほどさように「俳句上達の秘訣を教えてくれ」と問われて簡単に答えるのは難しい。そこでこの句を出すのはいかがだろうか。すぐに山本健吉の『現代俳句』を読めとか、虚子、素十の句集に行っても難しい、ましてや高柳重信、富沢赤黄男等の句を示されても初心者には荷が重い。そこで泰のこの句をだすのである。どこが初心者向きか。まず一読して意味はすぐわかる。謎はない。写生の目と手腕もかなりのもの。それでいて視点の転換が見事になされている。そこに諧謔と詩が生まれていることがわかる。わかるけど初心者には作れない句であるところがすごいのである。つまりこの句には言葉の錬金術の秘密が全て詰まっているのである。 その意味ではこの句はベテランにこそお勧めかもしれない。自己模倣の日々から抜け出す勇気を与えてくれるからだ。義父である虚子は泰の句を読むと世の中が変って見えてくると言ったそうである。 写真提供:但馬・写真日和 | 
| 評 者 | |
| 備 考 | 
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