検知のメカニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/17 01:25 UTC 版)
タイプⅠグロムス細胞はO2分圧の低下、CO2分圧の上昇、あるいはpHの低下によって脱分極を起こす。これによって電位依存性カルシウムチャンネルが開き、カルシウムイオンが細胞質内に流入する。さらにこれによって、神経伝達物質を含む小胞のエキソサイトーシスが引き起こされる。 タイプⅠ細胞がO2分圧の低下を検知する機序はまだ明確ではない。ヘムを含む蛋白質があって、これが結合したO2の解離に応答してカリウムチャンネルを抑制するという考えもある。また、酸素分圧の低下によってミトコンドリアのNADPHオキシダーゼが阻害されるとの考えもあり、これによって還元型グルタチオンの割合が増加し、カリウムチャンネルを抑制すると考えられる。さらに家族性傍神経節腫の原因遺伝子として呼吸鎖複合体Ⅱの蛋白質が明らかにされていることから、これが関与するとの考えもある。 CO2分圧が上昇した場合には、CO2が細胞内へ拡散し、水素イオン濃度が上昇することによりこれが検知される。水素イオンはカルシウム依存性カリウムチャンネルのカルシウムを置換することでカリウムの流入を減らす。 アシドーシスになると、細胞内pHを上げるトランスポーター(Na+-H+など)が抑制され、細胞内pHを下げるトランスポーター(Cl--HCO3-など)が活性化される。アシドーシスやアルカローシスはまた、細胞内の水素イオン濃度変化により、CO2分圧検知と共通の経路に直接的な影響を与える。
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