森川暁水とは? わかりやすく解説

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森川暁水

森川暁水の俳句

わらうてはをられずなりぬ梅雨の漏
人の衣祭わびつつ妻縫へり
夜おそくひとり焚きゐる門火かな
夜濯ぎにありあふものをまとひけり
夜濯のざあざあ水をつかひけり
干足袋の乾くまもなく盗られけり
息の根のとまることある暑さかな
月のものありてあはれや風邪の妻
水洟のきけばきりなき咄かな
水洟のほとけにちかくなられけり
蚊遣して住めば住まるる畳かな
金魚ただしづかに弟征く日来ぬ
障子貼るのりによごれて夫婦かな
 

森川暁水

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/31 16:36 UTC 版)

森川 暁水(もりかわ ぎょうすい、1901年明治34年)9月27日 - 1976年昭和51年)6月15日)は、大正時代から昭和時代後期にかけての俳人。本名は森川正雄。

ホトトギス」には珍しい、貧のなかに哀歓を籠めた作風で、高浜虚子より「昭和の一茶」(『黴』序文)と評された。いわゆる境涯俳句に先だつ作家だった。

略歴

大阪市西区裏新町の生れ。尋常小学校卒業と同時に表具店に徒弟奉公し、のち独立自営する。戦争末期には古書店を経営していた。1919年(大正8年)頃より作句し、山本梅史に師事して「泉」の編集に携わり同誌終刊まで尽力する。また高浜虚子にも師事し、1932年(昭和7年)「ホトトギス」同人となる。他に「山茶花」選者も務め、「火林」・「すずしろ」・「風土」・「雲海」などを主宰したことがある。句集に『黴』(1937年(昭和12年)黴刊行会)、『淀』(1940年(昭和15年)三省堂)、『澪』(澪刊行会)、『砌』(1970年(昭和45年)大阪冬筍会)などがある[1]。墓所は大東市三箇墓地。戒名は「石切院澪月暁水居士」。

評価

中田剛は「その句は市井人の感情を汲んで世評高いが、むしろ「息しづかに葱汁吸うて生きてあり」(『黴』)、「餅厚く切つて遠のく死ありけり」(『砌』)の孤絶に本質を見る。」[2]とする。

松崎豊に「悼 森川暁水--境涯の作家森川暁水」(「俳句」1976年9月号p216、角川書店)がある。

『増補現代俳句大系』第2巻(角川書店)1981年に『黴』が収録されている。

  • 師は暁水とは羨まし暁水忌 飯島晴子
  • 暁水の弟子といふ人夜濯す 田中裕明(『夜の客人』)

作品

  • 日向水かぶりて其日暮しかな
  • 貸ぶとん引つぱりあうて寝たりけり
  • どぶろくにゑうて身を投ぐ大地あり
  • 息しづかに葱汁吸うて生きてあり
  • 餅厚く切つて遠のく死ありけり
  • はかり炭買ひゐるところ見られけり
  • われのみに見ゆ昼星や極暑来
  • 悪ろき世のむきみの田螺黒かりき
  • 一晩にかほのかはりぬ暑気中り
  • 貧乏のもらひぐすりや水中り
  • 飢びとに麦いらいらと黄なりけり
  • 苦潮にうつそみ濡れて泳ぐなり
  • 月のものありてあはれや風邪の妻
  • 煮凝や親の代よりふしあはせ
  • 秋江に沿ひゆき蔵書売らんとす
  • 笑うてはをられずなりぬ梅雨の漏
  • 地のあてに山わだかまり凍死せる
  • 年玉のかざしの鶴の挿せば舞ふ
  • 膝もとにいとどの跳ねる夜食かな
  • 唄はねば夜なべさびしや菜種梅雨
  • 夜なべしにとんとんあがる二階かな
  • まうからぬ夜なべ細工やちちろ虫
  • 夜濯にありあふものをまとひけり

脚注

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  1. ^ 『現代俳句大事典』p562
  2. ^ 『現代俳句大事典』

参考文献

  • 『20世紀日本人名事典』
  • 『現代俳句大事典』(三省堂)他


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