染色体と遺伝形質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 03:09 UTC 版)
「分子生物学の歴史」の記事における「染色体と遺伝形質」の解説
1927年、ニコライ・コルツォフ(英語版)は、遺伝形質は2つの鏡像の鎖からなる巨大な遺伝分子を介して遺伝し、それらは互いを鋳型として半保存的複製を行うことを提唱した。マックス・デルブリュック、ニコライ・チモフィエフ=ルソフスキー(英語版)、カール・ツィマー(英語版)は1935年に、染色体は非常に巨大な分子であること、その構造はX線照射によって変化すること、構造を変化させることでその染色体によって支配される遺伝形質を変化させることができることを発表した。1937年にウィリアム・アストベリーは、最初のDNAのX線回折パターンを撮影した。彼は正確な構造を提唱することはできなかったものの、そのパターンはDNAが規則的な構造を持つこと、それゆえ構造がどのようなものであるかを導出することが可能であることを示していた。 1943年オズワルド・アベリーと科学者のチームは、肺炎球菌 (Pneumococcus) の「滑らかな」(smooth, S型) の形質が「粗い」(rough, R型) 形質を持つ同種の細菌へ、単に死んだS型の細菌を生きたR型の細菌へ与えるだけで移動することを発見した。極めて予想外なことに、生きたR型の細菌は新たなS型の株へと形質転換したのであり、転換したS型の形質は遺伝することが判明した。アベリーは形質の移動の媒体を「形質転換因子」(transforming principle) と呼んだ。彼は、それまで考えられていたようなタンパク質ではなく、DNAが形質転換因子であると同定した。彼は本質的にはフレデリック・グリフィスの実験を再現していたのであった。1953年アルフレッド・ハーシーとマーサ・チェイスは、T2ファージ(英語版)を用いてDNAが遺伝物質であることを実験的に示した。
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