本事業のための資金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 05:15 UTC 版)
本事業のために、当初広く資金の募集を行って当時の金額で「五千余円」を集めたというが、作業が当初の予定を遙かに超えて長期化したため当初用意された資金だけでは全く足りず池田は後それ以外にも学士院から2回、無名の篤志家から数回研究補助金の交付を受けたという。さらにそれだけの資金援助を受けながらも新出の貴重な写本を購入する為の資金が足りず池田の両親が所有していた田畑を売るなどして用立てたこともあったことを池田は語っている。池田がこのような豊富な資金を背景にして源氏物語の古写本を片端から買いまくっていたために、古書を取り扱っている業界の中では「源氏物語関係のいい写本が出てきたら、まず池田先生の所へ持って行く。」という状況になってきたが、入札形式を取った売り立てでは購入することが出来ないことが多くなり、「自分で買えないものは他の人に買って貰ってそれを利用する」という形に方針転換し、コレクション「青谿書屋」で知られる三井合名会社理事の大島雅太郎、新潟県の大地主である保阪潤治、三井鉱山専務であった七海兵吉、「紅梅文庫」のコレクションで知られる前田善子といった人物に協力を求めたという。底本となった大島本をはじめ保坂本、七海本などこのような経緯で本書の校異に採用されるに至った写本も多く存在するが、それらの多くが戦後財閥解体や農地改革などによって財産を失ったために再度所有者を変えることになった。
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