最も特異な点でブローアップしても上手くいかない
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 01:04 UTC 版)
「特異点解消」の記事における「最も特異な点でブローアップしても上手くいかない」の解説
特異点を改良するために"もっとも悪い"特異点の軌跡でのブローアップを考えることは自然である。ホイットニーの傘(英語版)x2 = y2zはz 軸を特異集合として持ち、ほとんどの点は通常2重点であるが原点ではより複雑なピンチ・ポイント(英語版)[訳語疑問点]特異点を持っている。したがって、もっとも悪い特異点でブローアップとするという考えでは原点でのブローアップからはじめることになる。しかし、原点でブローアップしてもある座標チャートの上では同じ特異点ができてしまう。したがって"もっとも悪い"(ように見える)特異点でブローアップしても特異点は改善されない。代わりに、z 軸に沿ってブローアップすることで特異点を解消できる。 Bierstone & Milman (1997) のように、ある意味で"もっとも悪い"特異点でブローアップすることにより上手くいくアルゴリズムもあるが、この例が示すように"もっとも悪い"の定義は慎重に行う必要がある。 もっと複雑な特異点としてx2 = ymznを考える。これはx = yz = 0に沿って特異点を持つ。原点にあるもっとも悪い特異点でブローアップすると、x2 = ym+n−2znとx2 = ymzm+n−2で定義される特異点が生まれる。m と n がともに3以上なら、これらは元の特異点より悪くなっている。 特異点を解消すると、全変換(強変換と例外因子の和集合)は単純正規交叉型の特異点を持つ代数多様体になっている。この型の特異点を解消することなく特異点を解消できないか、つまり滑らかな点と単純正規交叉している点の集合上で同型となるような解消を見つけられないか考えることは自然である。強変換が因子(つまり、滑らかな代数多様体に余次元(英語版)1の部分代数多様体として埋め込みが可能)の場合には、単純正規交叉点を避けた強型の解消が存在することが知られている。ホイットニーの傘から、正規交叉特異点でのブローアップを避けて特異点を解消することは不可能であることがわかる。
※この「最も特異な点でブローアップしても上手くいかない」の解説は、「特異点解消」の解説の一部です。
「最も特異な点でブローアップしても上手くいかない」を含む「特異点解消」の記事については、「特異点解消」の概要を参照ください。
- 最も特異な点でブローアップしても上手くいかないのページへのリンク