旧世界ヤマアラシと新世界ヤマアラシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 04:59 UTC 版)
「ヤマアラシ」の記事における「旧世界ヤマアラシと新世界ヤマアラシ」の解説
ヤマアラシという名で呼ばれる動物は、いずれも背中に長く鋭い針状の体毛が密生している点で、一見よく似た外観をしている(針毛の短い種もある)。しかし、“ヤマアラシ”に関して最も注意すべきことは、ユーラシアとアフリカ(旧世界)に分布する地上生のヤマアラシ科と、南北アメリカ(新世界)に分布する樹上生のアメリカヤマアラシ科という2つのグループが存在することである。これらは齧歯類という大グループの中で、別々に進化したまったく独立の系統であり、互いに近縁な関係にあるわけではない。 両者で共有される、天敵から身を守るための針毛(とげ)は、収斂進化の好例であるが、その針毛以外には、共通の特徴はあまり見られない。齧歯目(ネズミ目)の分類法には諸説があるが、ある分類法では、ヤマアラシ科はフィオミス型下目、アメリカヤマアラシ科はテンジクネズミ型下目となり、下目のレベルで別のグループとなる。つまりアメリカヤマアラシ科はヤマアラシ科よりも、テンジクネズミ科とのほうが系統が近い。 2群の動物が、現在に至るまでヤマアラシという共通の名前で呼ばれているのは、そもそもヨーロッパから新大陸に渡った開拓者たちが、この地で新たに出会ったアメリカヤマアラシ類を、まったくの別系統である旧知のヤマアラシ類と混同して、呼称上の区別をつけなかった名残りに過ぎない。特に区別する必要があるときは、それぞれ「旧世界ヤマアラシ」「新世界ヤマアラシ」と呼び分けるのが通例である。 旧世界ヤマアラシ 警戒状態の旧世界ヤマアラシ 新世界ヤマアラシ(Prehensile-tailed porcupine) 食事中の新世界ヤマアラシ(Erethizon dorsatum)
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