接合菌・卵菌の“分生子”
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/13 06:49 UTC 版)
分生子を形成するのは子のう菌と担子菌(および不完全菌)であるが、接合菌門や卵菌門にも、よく似た散布体を形成するものがある。 接合菌門ケカビ目のカビは、胞子のうの中に多数の胞子のう胞子を形成するのが普通である。胞子のうは、その壁が破れるなどして、胞子を放出する。ところが、そこから特殊化した構造として、胞子のう壁は壊れにくくなり、少数の胞子のう胞子を納めたままで、その根本からはずれてしまうものがある。胞子のうそのものが散布体になったわけで、このような構造を小胞子のうという。さらに、コウガイケカビやクスダマカビでは、小胞子のうの中の胞子の数が1つだけとなるものがあり、こうなると、外見では外生の胞子と区別がつかない。このようなものは、以前には分生子と呼んでいた。キクセラ目のものは、胞子形成のための特殊な枝に不完全菌のフィアライドとよく似た構造のものを作り、そこから細長い外生胞子のようなものを出芽状に形成する。これは、むしろ単胞子性の分節胞子のう(細長い袋に胞子が1列に出来て、袋ごと折れるようにしてバラバラになる胞子のう)だと考えられている。これらの構造は、電子顕微鏡で観察すれば、胞子のうの壁と胞子の細胞壁が区別できるが、不明瞭な場合もある。 ハエカビ目・トリモチカビ目のものも外生胞子のような形の散布体を作るものが多い。ハエカビ目と、トリモチカビ目の一部の作る胞子は、完全に胞子の細胞壁がなく、真の分生子であるとの説がある。 卵菌類のツユカビ目のものには、遊走子のうが遊走子を作らず、そのまま柄からはずれて散布体として振る舞うものがある。宿主植物上で水があれば遊走子を形成する場合もあり、そのまま発芽管を出して成長を始める場合もある。いずれにせよ、その外見と働きは分生子と同じようになり、実際に分生子と呼ばれる場合がある。
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