授刀舍人とは? わかりやすく解説

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たちはき‐の‐とねり【帯刀の舎人】

読み方:たちはきのとねり

武器帯びて、主に天皇身辺および宮中警衛当たった下級官人近衛舎人前身また、近衛舎人をも称したたてわき

東宮坊舎人のうち、武器帯びて東宮身辺および御所警備当たった者。東宮帯刀たてわき


授刀舎人

読み方:タチハキノトネリ(tachihakinotoneri), ジュトウトネリ(jutoutoneri)

古代天皇護衛当たった武官


授刀舎人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 16:29 UTC 版)

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授刀舎人(たちはきのとねり/じゅとうとねり)は律令制で定められた奈良時代8世紀)の武官左右近衛府舎人の前身であり、授刀帯剣舎人とも呼んだ。最初、授刀舎人寮に所属し、その後、授刀舎人寮が中衛府に改称されるにあたり、一旦消滅するが、その後天平18年(746年)、騎舎人を改める形で別に設置されている。

概要

内舎人兵衛同様、兵仗を帯びて、禁中の警固にあたるのを任務としていたと思われる。元明天皇即位直後の慶雲4年(707年)7月に彼らを統轄する授刀舎人寮が設置されたこと[1]を考えると、恐らく皇嗣であった首皇子(のちの聖武天皇)の地位を擁護するところに、その主目的があったようである[2][3]

神亀4年(727年)10月以降、史書からはその名前が消滅するが、これは翌神亀5年(728年)7月に授刀寮を改編した中衛府が設置され、寮に所属する授刀舎人も中衛舎人となったと考えられている[4]

天平18年(746年)2月、「騎舎人」(うまのとねり)を改める形で「授刀舎人」が再度設置されている[5]。「騎舎人」は天平12年(740年)以降、度重なる行幸や遷都に対して、天皇の身辺警固の必要のために設置された騎馬兵とされている[3]。この頃、聖武天皇は前天平17年(745年)の5月に平城に還都したが[6]、8月に難波宮に行幸し[7]、そのまま9月に重病になり[8]、月末になってやっと平城京にもどることができた[9]。後年になって明らかとなったことだが、橘奈良麻呂の謀反の動静など、皇嗣問題が切迫化しつつあった。笹山晴生神護景雲3年(769年)10月の称徳天皇の宣命の第45詔、

(わ)が東人(あづまひと)に刀(たち)授けて侍らしむる事は、汝(いまし)の近き護(まも)りとして護らしめよと念(おも)ひてなも在る[10]

を聖武天皇譲位の勅とし、その文言にある「朕が東人に刀授けて」をこの時の授刀舎人と関連付けて絞殺し、皇嗣としての阿倍内親王(孝謙・称徳天皇)の身辺保全の任務を担うものと意義づけている。要は、この二番目の「授刀舎人」は天皇に直属する舎人でありながら、皇太子阿倍内親王の身辺護衛の目的のために設置されたと考えられている[3][11]

第二次授刀舎人は、聖武上皇崩御後の天平勝宝8歳(756年)7月に、400人を定員とし、その名籍を中衛府が管理することになった。ただし、授刀舎人の名称はそのままとされ、中衛舎人とは別のものとされている[12]。その後、天平宝字3年(759年)12月の授刀衛の成立により授刀舎人も中衛府から独立してそこに所属することになり[13]称徳天皇の重祚後の天平神護元年(765年)2月の授刀衛の近衛府への改編に伴なって[14]、近衛舎人となっている。

脚注

  1. ^ 『続日本紀』元明天皇 慶雲4年7月21日条
  2. ^ 林睦朗「皇位継承と親衛隊」『上代政治社会の研究』所収
  3. ^ a b c 笹山晴生「授刀舎人補考」『日本古代衛府制度の研究』
  4. ^ 笹山晴生「中衛府の研究」『日本古代衛府制度の研究』
  5. ^ 『続日本紀』巻第十六、聖武天皇 天平18年2月7日条
  6. ^ 『続日本紀』巻第十六、聖武天皇 天平17年5月11日条
  7. ^ 『続日本紀』巻第十六、聖武天皇 天平17年8月28日条
  8. ^ 『続日本紀』巻第十六、聖武天皇 天平17年9月17日条
  9. ^ 『続日本紀』巻第十六、聖武天皇 天平17年9月26日条
  10. ^ 『続日本紀』巻第三十、称徳天皇 神護景雲3年10月1日条
  11. ^ 岩波書店『続日本紀』3補注16 - 三〇
  12. ^ 『続日本紀』巻第十九、孝謙天皇 天平勝宝8歳7月17日条
  13. ^ 『続日本紀』巻第二十二、廃帝 淳仁天皇 天平宝字3年12月2日条
  14. ^ <『続日本紀』巻第二十六、称徳天皇 天平神護元年2月3日条
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参考文献

関連項目



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