抗体による干渉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 04:30 UTC 版)
「ブレイクスルー感染」の記事における「抗体による干渉」の解説
乳児における母親の移行抗体の存在は、不活化ワクチン、弱毒化ワクチン、サブユニットワクチンの有効性を低下させる。移行抗体は、ワクチン接種でウイルスが産生したタンパク質上のエピトープに結合する。母体の抗体がウイルスのタンパク質を認識する事で、ウイルスが中和される。更に移行抗体は、乳児のB細胞上のB細胞受容体が抗原に結合するより先に抗原を中和してしまうので、乳児の免疫系は高度に活性化されず、乳児が産生する抗体の数も少なくなる。 B細胞が病原体に結合したとしても、免疫反応は抑制される。B細胞受容体が抗原に結合し、同時にFc受容体が移行抗体に結合すると、Fc受容体がB細胞受容体に信号を送り、細胞分裂を抑制する。乳児の免疫系が刺激されず、B細胞の分裂が抑制されるため、記憶B細胞は殆ど作られない。記憶B細胞のレベルは、病原体に対する乳児の生涯に亘る抵抗力を確保するのに充分ではない。 殆どの乳児では、母体の抗体は生後12~15ヶ月で消失する為、この時期以外に接種したワクチンが母体の抗体の干渉を受けて損なわれる事はない。
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