戦士よさらばボギー最後の日
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/06/13 10:20 UTC 版)
戦士よさらばボギー最後の日 | |||
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『太陽にほえろ!』のエピソード | |||
話数 | 第597話 | ||
監督 | 澤田幸弘 | ||
脚本 | 小川英、尾西兼一 | ||
制作 | 梅村洋一、服部比佐夫、新野悟 | ||
音楽 | 大野克夫 | ||
撮影監督 | 田島文雄 | ||
初放送日 | 1984年4月6日 | ||
ゲスト出演者 | |||
エピソード前次回 | |||
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太陽にほえろ! |
戦士よさらばボギー最後の日(せんしよさらばボギーさいごのひ)とは、1984年4月6日に日本テレビ系列で放映された『太陽にほえろ!』第597話のタイトルである。この回の放送で、世良公則演じるボギー刑事こと春日部一(かすかべはじめ)が殉職してしまう。猪突猛進、熱血漢で八方破れ。でも優しい心根を持つ純情なボギー刑事の最期の悲痛な叫びが、観る者の胸に深く刻み込まれる作品である。
出演
警視庁七曲警察署刑事課捜査第一係刑事メンバー
(括弧内)は、一係内でのニックネーム
- 藤堂俊介(捜査第一係長・ボス)…石原裕次郎
- 山村精一(山さん)…露口茂
- 井川利三(トシさん)…地井武男
- 西條昭(ドック)…神田正輝
- 春日部一(ボギー)…世良公則
- 岩城令子(マミー)…長谷直美
- 竹本淳二(ラガー)…渡辺徹
- 澤村誠(ブルース)…又野誠治
ゲスト
あらすじ
三流誌のルポライターで、影では強請りも行なっていた坂口竹夫が射殺体で発見された。赤外線カメラからフィルムが抜き取られていた事から、単なる殺人事件ではなさそうだと七曲署捜査一係のメンバーは考え、捜査にあたる。その中で、大学院生の沢木高志と、高志と恋仲である日系ブルジラ人・杉野麻衣が事件に何かしら係わっているらしい事が判明。ボギーとラガーが2人に接触し自首を奨めるが、2人は頑なに係わりを否定する。
実は、麻衣が夜中に道端で酔っ払いに絡まれ思わず突き放した後、その酔っ払いは自分でつまづき車にはねられ死亡していたのだった。そうとは知らない麻衣は、自分が殺してしまったと自分を責める。その一部始終を目撃していた坂口は麻衣の一件に付け込み、何回も現金を強要していた。その事を嗅ぎつけた早見貿易の社長・早見周造が高志に拳銃を渡し、坂口を脅してフィルムを片っ端から取り返して来いと、言葉巧みに高志をそそのかしていたのだった。
高志と麻衣は張り込んでいた刑事達を撒いて逃走。麻衣の母国であるブルジラ共和国へ逃亡すると判断したボギーは横浜港へ直行し、ブルジラ行き旅客船内で2人を発見する。下船し自首を奨めるボギーに対し、高志は苦渋の表情で麻衣が坂口に何度も強請られ、最後には金がないのならと坂口に乱暴されそうになったと告白。泣きながら高志にすがる麻衣たちの姿を見たボギーの表情は、険しいものから悲しみを感じる表情へと変わっていく。しかし、麻衣が酔っ払いを突き放した事は正当防衛であるのは明白であり、死亡事故は麻衣と直接関係がないハプニングであった。早見が高志にフィルムを奪って来いと言い拳銃を渡したのは、早見も坂口に強請りのネタをつかまれて、ネタを奪取する方法として、高志と麻衣に目をつけたのだ。だが高志が渡された拳銃は、安全装置を意図的に壊した物であった。高志はそうとは知らずに坂口を脅し、揉みあっているうちに誤って射殺してしまった。早見がわざと壊した拳銃を渡したのは、高志を利用して自分の手を汚さずに済む為に仕組んだ罠だったのだ。ボギーからそれらの事を告げられた高志と麻衣は、愕然として何も言えなくなってしまう。ボギーは2人に怒り、呆れ、背を向け、客室窓から東京湾を見つめる。
そこでボギーはある考えを思いついた。国際規約により、妊娠したブルジラ人女性の父親は、ブルジラ国外で身柄の拘束が出来ない事を。このまま高志と妊娠している麻衣がブルジラに旅立てば、2人は日本国内では拘束されない事を…。ボギーは2人を逃がすことを決意して1人で下船。ブルジラへ向けて出港する船上の2人に万歳と叫び、見送った。しかし、それは本来、日本の警察官としてあるまじき行為にもなりかねない。ボギーは無線でボスに2人を逃がした事実を伝え、そのことを詫び、刑事を辞めて法律では裁けぬ『悪』を単身打ちのめす覚悟を伝える。
それがいかに危険なことであるかを分かっているボスは思い留まるよう説得、しかしそれも叶わないと察すると他のメンバー全員に早見貿易への集結を指示、ボギーの暴走を止めようとする。
その後辞表を書き、警察手帳等と共にコインロッカーに預け、その後で買った赤いバラの花束と共にロッカーの鍵をボス宛に託した。そして胸に自身もバラを差して早見のもとへ単身立ち向かう。だがボギーの動きを察知していた早見は、部下と雇いの殺し屋・今泉にボギーを襲わせる。神社の境内を歩くボギーは、突如差し金連中に取り囲まれ、今泉のナイフで左胸を刺されてしまう。一瞬のうちに血に染まるバラの花…
一瞬、ボギーは何が起きたか解らず唖然とし「じょ、冗談だろ」と、呟く。そして自分が刺されたと分かると胸のナイフを抜き、「まだやりたいこと、あんだよぉ!」と無念を叫び、広島の姉の名を叫び、無様な最期となった自分に「格好悪りいなぁ…」の言葉を遺してボギーは路地に倒れこむ(だが絶命の瞬間、直前に今泉が咥えていた吸殻を排水溝に捨てたのを目撃していたボギーは、最後の力を振り絞って自分を刺したナイフの先をその排水溝を指し示す方向に向けて、仲間にダイイング・メッセージを遺していた)。
直後に駆けつけた一係メンバーが目の当たりにしたのは、既に絶命し変わり果てたボギーの姿であった。
そしてその事実を伝えられたボスのもとにバラの花束と鍵が届く。コインロッカーに預けられていた辞表には「俺、辞めます。申し訳ありません。」の一言だけ。
そして次々にその場を離れ、銘々にボギーを失った悲しみに打ちひしがれる一係メンバー。
ボスは「ボギー…」と呟くと、またしても部下の死を止められず、悪の横行を許してしまった自身への不甲斐なさに、ボギーの辞表をクシャクシャに丸めて握り潰すことしかできなかった…。
補足
次週の第598話 戦士よ眠れ、新たなる闘い(せんしよねむれ あらたなるたたかい)、(1984年4月13日放映)では非業の死を遂げたボギーの無念を晴らすべく、一係メンバーが犯人グループ逮捕に奮闘する。
参考資料
- 『太陽にほえろ! 名場面集(5)』(ISBN 0074-960660-6262)日本テレビ放送網 1986年初版発行
- 『太陽にほえろ! 4800シリーズVOL.7 ボギー殉職編』(ビデオテープ・VPVX-60712)株式会社バップ 1994年発売
関連項目
固有名詞の分類
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