成体における神経発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/01 17:01 UTC 版)
サンティアゴ・ラモン・イ・カハールなどによって述べられた初期の神経科学では、神経系は安定しており再生能力はないと考えられていた。しかし1962年に、ジョセフ・アルトマンによって成体哺乳類の大脳皮質にて神経発生の存在が確認され、1963年には、海馬の歯状回で起こっていることが示された。1969年には、嗅球へと顆粒神経細胞を供給する元としてrostral migratory streamが発見・命名された。 アルトマンによるこれらの成果には確かな証拠がありながら長らく注目されることはなかった。しかし1982年にラットの神経発生が再び示され、1983年には鳥類にも同様の現象が確認されたことで注目を集めるようになり、1990年代には神経科学のメインストリームへと乗るようになった。そして1990年代の終わりには、霊長類やヒトの海馬で神経発生が確認され、近年ではウサギの小脳でも確認されている。 海馬や脳室下帯以外での神経発生についても示されているが、それらはグリア細胞ではないかという異論もあり、議論の対象となっている。抑制性の神経伝達物質として知られるγ-アミノ酪酸(GABA)は神経発生にも影響を与えていることが示され、またGABAの作用を増強するジアゼパムにも同様の影響が発見されている。
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