憲法学上の法律の留保(法律の留保型人権保障)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 07:08 UTC 版)
「法律の留保」の記事における「憲法学上の法律の留保(法律の留保型人権保障)」の解説
ただ、この原理はもともとは自由と財産に対する行政の侵害を防ぐというものであったため、法律の内容自体に対する防波堤は用意されていなかった(この点で形式的法治主義と英米法由来の「法の支配」との差異が説かれることもある)。 19世紀の西欧諸国の憲法や明治憲法では、議会制定法への信頼を前提に、議会の制定法によらなければ憲法所定の権利を制限することはできないという形での権利保障がとられた。議会に最終判断権を委ねるもので、憲法は「法律の範囲内において」権利を保障するという形式が一般的にとられていた。この意味で「法律の留保」(Gesetzesvorbehalt:GV)という語が用いられることもある。 しかし、「法律」による人権侵害の可能性という問題に対し、この方法では議会のあり方によっては人権保障は実のないものとなる。権利保障が法律の範囲内で認められるものにすぎない場合には立法権によりほとんど自由に制限しうるものになるからである。 第二次世界大戦後に制定された日本国憲法やドイツ連邦共和国基本法では、立法部といえども侵害できない部分をも含む形での保障を採用している。この場合でも私的権利の行使や私的活動が絶対的で無制約というわけではなく、立法による制約の対象となりうるが、ただそれが一定の限度を超える場合には違憲という判断を受けることとなる。
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