惑星と生命の探索
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 15:07 UTC 版)
くじら座τ星への研究意欲が大きいのは、地球からの距離、太陽との類似性、惑星と生命が存在する可能性がある点が挙げられる。太陽に似た恒星の名称として、ソーラーツイン、ソーラーアナログ、ソーラータイプがあるが、HallとLockwoodは、「これらの用語は、徐々に限定的な用語になりつつある」と報告している。くじら座τ星は、太陽と同様の質量と低い変動性を有するが、相対的な金属の欠如を考慮すると、ソーラーアナログに分類される。 くじら座τ星は惑星を視線速度法で発見できる有力なターゲットとされてきた。1988年の時点で、木星軌道(約5.2au)より内側に木星のような巨大ガス惑星が存在する視線速度の兆候は見られず、少なくとも2012年12月までは、惑星の存在を示す兆候は発見されなかった。この結果は、太陽系外惑星によく見られる、ホット・ジュピターが存在する可能性を排除し、木星質量以上で、公転周期が15年未満の惑星も存在しない事を示している。さらに、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている広域惑星カメラによる観測も1999年まで行われたが、望遠鏡の分解能の限界により、惑星を発見する事は出来なかった。 それまでの観測で、褐色矮星や木星のような巨大惑星の存在は否定されたが、地球軌道付近に、地球サイズの小型惑星が存在している可能性は依然として排除されていなかった。仮に、くじら座τ星から非常に近い位置にホット・ジュピターが存在しているとすると、ハビタブルゾーンに影響を及ぼす可能性が高い。そのため、ホット・ジュピターが存在しないとすると、地球のような環境の惑星が存在している可能性が高くなる。くじら座τ星の惑星に、原始的な生命が存在しているとすると、地球での生命活動によって生じる酸素などのように、大気成分から、生命が存在しているかが明らかになる可能性もある。
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