悪法問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 21:00 UTC 版)
法実証主義には、それが正義や善といった価値から法を切り離してしまう(「悪法も法である」※悪法であっても法である以上、効力があるとされている間はそれを守らなければならないということを意味する)ので、悪法に対する批判的態度を失わせる、といった批判がなされ、また法実証主義は戦後、ナチス体制下においてあった悪法への批判の基礎になれなかったとして、自然法学派からの批判にさらされた。グスタフ・ラートブルフの確信犯論が著名。 しかし、法実証主義は、法概念論(法の認識)と法価値論(法の評価)との峻別を主張するのみであって、法価値論の放棄を説くものではない。実際、ベンサムのコモン・ロー批判、ハートのリーガル・モラリズム批判、ケルゼンのイデオロギー批判など、法実証主義者は多くの場合、精力的な悪法批判者でもある。法実証主義は、法の存在条件を社会的事実のみに求めるので、法が法であるというだけで遵守されるべきだとは主張しない。
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