恐怖の描写
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:46 UTC 版)
本作のタイトルであり、作中にも登場する「ぼぎわん」は澤村オリジナルのおばけである。作中では三重県に伝わる妖怪とされ、古文書による言及が存在する。しかしこれは数世代にわたって「ぼぎわん」が人々から恐れられていたことを表してはいるが、実在の伝承ではない。作中では室町時代に宣教師によって『ブギーマン』と名付けられたものが当時の日本人の発音のなまりで「ぼぎわん」と呼ばれるようになったと説明されている。 本作は"恐怖"を描くことに専念して執筆されている。澤村は執筆にあたって"恐怖"とは何かを考え、人に"恐怖"を与えるのは対象それ自体の姿形や性格ではなく、「人々に恐れられている」ということ自体ではないかと仮説を立てた。つまり、おばけの由来や実害そのものよりも、名前とそれが「怖いという触れ込み」が不気味さと恐怖を掻き立てると考えた。作中では不可解なできごとが重なるが、澤村によると"恐怖"を生み出すのは「何が起こったかより、誰がどんな反応をしたか」である。仮説を実証するために澤村は架空のおばけ「ぼぎわん」を創作し、登場人物たちがそれを恐れる姿を描くことで、読者に"恐怖"を生み出すことを目指した。そのため本作では語り手たちのリアクションに重点を置いた描写が徹底されている。
※この「恐怖の描写」の解説は、「ぼぎわんが、来る」の解説の一部です。
「恐怖の描写」を含む「ぼぎわんが、来る」の記事については、「ぼぎわんが、来る」の概要を参照ください。
- 恐怖の描写のページへのリンク