心の因果的締め出し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 01:40 UTC 版)
「物理的領域の因果的閉包性」の記事における「心の因果的締め出し」の解説
物理的領域の因果的閉包性を前提にした上で、現象意識やクオリアの位置づけを探った場合、最もシンプルな解答として随伴現象説が帰結する。 随伴現象説では意識やクオリアといった主観的体験は、物理現象に対して何の因果作用ももたないとする(すなわち主観的体験が物理現象の原因となることはない、ということ)。この立場から見ると主観的体験のポジションは、閉じた物理領域に対して、宙ぶらりんな格好になる。そのため随伴現象説における心的なものは、物理現象にぶら下がっているだけの付属物という意味で、「因果的提灯」(いんがてきちょうちん、英:Causal dangler)と呼ばれることもある。 しかし現象意識やクオリアを、物理状態になんの因果作用も引き起こさない随伴現象として位置づけると、そこからはある種のパラドックスが引き起こされる。それは現象意識やクオリアに関して脳が行なっている判断や報告には現象意識やクオリア自体は因果的に一切関わっていないことになる、という問題である。この問題は因果的排除問題(Causal exclusion problem)、または現象判断のパラドックス(Paradox of phenomenal judgement)などと呼ばれる。
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