御前本読み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/27 09:15 UTC 版)
企画を通す際には、岡田の前で監督か脚本家が本(脚本)を読む作業があった。面白くないと岡田は貧乏揺すりを始めて、読み終わったら即座に「中止だ!」と叫ぶ。途中で「最後はどうなるんだ?」と聞いて「何考えとるんや!」と中止させることもあったという。倉本は御前本読みがあると聞いてビックリ仰天。書くには書いたが人前で「忍法筒涸らし!」なんて読めるもんじゃない。結局ジャンケンで負けた中島が読むことになった。倉本は「岡田茂の御前本読みは一寸見事としか云いようがなかった。目を閉じ腕組みをし、汗を流しながら朗読する中島の本読みをじっと最後まで聞き終わるや、あすこはこうせい、あすこはもっと過激にせい、あすこはくノ一にヒイヒイ云わせい、ラストのつめは甘すぎるから三分の一くらいに削ってしまえ」などと何とも的確なダメ出し。この人の集中力と批評眼は天才であると感嘆した」などとその感想を述べている。倉本は、これが縁で「ニッポン放送のラジオのライターで一生終わりたくない。映画をどうしてもやりたい」と、東映に籍を置かせて欲しいと中島を介して岡田に頼んできた。岡田は「最初にできた倉本脚本は、ただ助平なだけだったので、もっと女の魔性を描く内容に書き換えさせた」、「のちに倉本さんはどうして黙って聞いているだけで、直すところを分かったのかと不思議がっていた。僕に一つ特技があるのを知らないのだ。ホンを読むときや、聞いているときは絵を思い浮かべて頭に入れている。ダメなところをちょっとメモに書いておけばいい。結局、倉本さんは非常に脚本に興味をもって、その道に進んだ」などと述べている。
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