幽霊の有無
*関連項目→〔霊〕
『捜神記』巻16-3(通巻378話) 阮瞻は、「幽霊は実在しない」とつねづね主張していた。ある時、訪れた客と議論になり、阮瞻は客を論破した。言い負かされた客は怒り、「なぜ貴方は幽霊の存在を認めないのか。この私が幽霊なのですぞ」と言って消えた。
『捜神記』巻16-4(通巻379話) 尋陽の司令官宅に寄宿する居候は、「幽霊は実在しない」という論を唱えていた。ある時、訪れた客と議論をし、居候は客を言い負かした。客は「貴方は弁が立つが道理に欠けている。私こそ幽霊ですぞ」と言い、「貴方を冥府へ連れて行くために来た」と告げた。
『閲微草堂筆記』「ラン陽消夏録」7「幽霊はいないと言う幽霊」 夜、2人の男が藪の茂る荒地を歩き、「墓場には幽霊が多い」と話し合う。老人がやって来て、「幽霊など存在しない」と言い、理路整然と陰陽の原理を説く。2人が感心すると、老人は「冥界の私は、話し相手を求めて、仮に『幽霊はない』という議論をしてみたのだ」と言って消えた。
★3.目前の幽霊が実在するのか、ただ幻覚を見ているだけなのか、わからない。
『ねじの回転』(ジェイムズ) 独身女性の「わたし」は、住み込み家庭教師となり、孤児兄妹(10歳たらずのマイルズと8歳のフローラ)の世話をする。屋敷内で「わたし」は、前任の女家庭教師と下男の幽霊をしばしば見る。ところがマイルズもフローラも、幽霊などいないかのごとくふるまうので、「わたし」は、「子供たちは幽霊と何らかの関わりがあって、わざと見えないふりをしているのだ」と、思う〔*しかし「わたし」1人が、幻覚を見ているだけかもしれない〕。
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