平衡挙動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/13 00:05 UTC 版)
lim t → ∞ ϕ ( t ) {\textstyle \lim _{t\to \infty }\phi (t)} を理解するためには、残る項 c i ( t ) = c i ( 0 ) e − k λ i t {\textstyle c_{i}(t)=c_{i}(0)e^{-k\lambda _{i}t}} は λ i = 0 {\textstyle \lambda _{i}=0} のもののみであることに留意すべきである。これは lim t → ∞ e − k λ i t = { 0 if λ i > 0 1 if λ i = 0 } {\displaystyle \lim _{t\to \infty }e^{-k\lambda _{i}t}=\left\{{\begin{array}{rlr}0&{\text{if}}&\lambda _{i}>0\\1&{\text{if}}&\lambda _{i}=0\end{array}}\right\}} となるためである。 言い換えると、系の平衡状態は L {\textstyle L} の核によって完全に決定される。 なぜなら定義 ∑ j L i j = 0 {\textstyle \sum _{j}L_{ij}=0} によれば、全てが1のベクトル v 1 {\textstyle \mathbf {v} ^{1}} は核内にある。また、グラフ中に k {\textstyle k} 個の互いに素な連結成分が存在するならば、この全てが1のベクトルは1と0からなる k {\textstyle k} 個の独立な λ = 0 {\textstyle \lambda =0} 固有ベクトルの和へと分割できる。それぞれの連結成分は連結成分中の要素では1を持つ固有ベクトルと、その他の場所では0を持つ固有ベクトルと対応している。 この結果は、 N {\textstyle N} 個の頂点を持つグラフについて任意の初期条件 c ( 0 ) {\textstyle c(0)} では、 lim t → ∞ ϕ ( t ) = ⟨ c ( 0 ) , v 1 ⟩ v 1 {\displaystyle \lim _{t\to \infty }\phi (t)=\left\langle c(0),\mathbf {v^{1}} \right\rangle \mathbf {v^{1}} } となる。上式において、 v 1 = 1 N [ 1 , 1 , . . . , 1 ] {\displaystyle \mathbf {v^{1}} ={\frac {1}{\sqrt {N}}}[1,1,...,1]} である。 ϕ {\textstyle \phi } の個々の要素 ϕ j {\textstyle \phi _{j}} 、すなわちグラフ中の個々の頂点 j {\textstyle j} について、これを lim t → ∞ ϕ j ( t ) = 1 N ∑ i = 1 N c i ( 0 ) {\displaystyle \lim _{t\to \infty }\phi _{j}(t)={\frac {1}{N}}\sum _{i=1}^{N}c_{i}(0)} と書き直すことができる。 言い換えると、定常状態では、 ϕ {\textstyle \phi } の値はグラフの個々の頂点において同じ値に収束する。この値は全ての頂点の初期値の平均である。これは熱拡散方程式の解であるため、直感的に完全に筋が通っている。グラフ中で隣接する要素は、エネルギーが互いに連結した全ての要素にわたって均等に広がるまでエネルギーを交換することが予測される。
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