差額決済契約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 08:53 UTC 版)
経済産業省外局総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会は「差額決済契約」という公共料金制度を検討している。差額決済契約とは、いわば再生可能エネルギーについて行われている固定価格買い取り制度の原子力版である。分かっている範囲で仕組みを述べると、まず廃炉費用や使用済み核燃料の処分費用も含めた、原発の運営にかかるコストを回収できる電気価格を事前に「基準価格」として定めている。電気の市場価格が基準価格を下回った場合、差額を電力会社が受け取れる。その原資は議論されているところであるが、電力会社が送電網を使用する際に支払う託送料金に上乗せされる可能性が高い。そうなれば電気料金に計上されて、需要家である電力利用者(=送電線の利用者)全体から徴収する形となる。2014年6月の電気事業法改正による自由化は、産業保護の動機となっている。委員の伴英幸によれば、原発産業の特に新設事業が保護の必要性を生んでいるという。 差額決済契約の本質は、電気価格を指標とし、公共料金策定を理由に消費者との契約を省いたCFDである。スマートグリッドの普及により電気価格は低下するので、消費者の負担が増える。そしてゼネラル・エレクトリックを代表とするスマートグリッドの推進事業者は、従来の原子力産業を推進してきた企業群である。こうして原子力損害賠償・廃炉等支援機構の財源が、電力事業者の資産にではなく、電気料金に占める基準価格との差額分に確保される。
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