小池婆
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/17 20:33 UTC 版)
小池婆(こいけばば)は、雲州松江(現・島根県松江市)に伝わる説話。 松江の小池という武家に仕える男が、正月休みに里帰りし、主の登城日前日の朝、未明の内に家を発って主のもとへ向かった。檜山へ差し掛かった頃、オオカミの群れに出くわしてしまい、逃げ場を失って路傍の大木に登り、難を逃れようとした。 するとオオカミたちは梯子状に肩車を組んで男に近付いてきたが、あと少しのところで高さが足りない。一番上のオオカミが「小池婆を呼べ」と吠えたてた。それに応じて1匹の巨大なネコがやって来て、オオカミの梯子を昇って来た。男はネコを待ち受け、腰の刀を抜いてネコの眉間を切りつけた。金属音が響き、ネコもオオカミの群も姿を眩ました。 やがて夜が明けて人の声がするようになり、男は安心して木から降りると、足元に茶釜の蓋が落ちていた。良く見ると、それは見慣れた主の家の茶釜の蓋だった。不思議に思い、男はそれを持って主の家へ向かった。 主の家へ着いたところ、主の母親が昨晩、厠で転んで額に大怪我をしたと大騒ぎになっていた。さらに家の茶釜の蓋がなくなり、探し回っているところだった。男は茶釜の蓋を主に見せて事情を話した。主が母の部屋を覗くと、母は布団をかぶって妙な声で呻いていた。 主は母を怪しいと睨み、布団の上から刀で突き刺した。布団を剥いで見ると、そこには老いたネコの死骸があったという。
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