宇宙論的赤方偏移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 21:06 UTC 版)
アメリカ合衆国の天文学者エドウィン・ハッブルは、様々な銀河までの距離とその銀河のスペクトルを調べ、ほとんど全ての銀河のスペクトルに赤方偏移が見られること、赤方偏移の量は遠方の銀河ほど大きいことを発見した(ハッブルの法則)。この事象は、銀河を出た光が地球に届くまでの間に空間自体が伸びて波長が引き伸ばされるためであると解釈でき、宇宙が膨張していることを示すと考えられている。2020年現在、観測されている最も z が大きい(すなわち最も遠方にあると考えられる)天体は z = 10.957 の銀河 GN-z11 である。 もう一つの代表的な例として、宇宙背景放射での現象が挙げられる。現在の宇宙では、絶対温度約 3K の黒体放射に相当する放射があらゆる方向からやってきており、宇宙背景放射と呼ばれている。これは、宇宙創成期に宇宙を満たしていた高温状態のプラズマから発せられた熱放射が、ビッグバン後の急激な宇宙の膨張によって波長が引き伸ばされて極端な赤方偏移を受け、現在観測されるような電磁波(特に、マイクロ波)として観測されているものである。これは現在知られている最大の赤方偏移であり、 z = 1089 (距離換算で約138.12億光年)である。
※この「宇宙論的赤方偏移」の解説は、「赤方偏移」の解説の一部です。
「宇宙論的赤方偏移」を含む「赤方偏移」の記事については、「赤方偏移」の概要を参照ください。
- 宇宙論的赤方偏移のページへのリンク