妙見山古墳 (今治市)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 23:51 UTC 版)
妙見山古墳 | |
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![]() 前方部側の墳裾から後円部を望む | |
別名 | 妙見山1号墳 |
所属 | 妙見山古墳群 |
所在地 |
愛媛県今治市大西町宮脇乙 (藤山健康文化公園内) |
位置 | 北緯34度3分31.39秒 東経132度55分50.97秒 / 北緯34.0587194度 東経132.9308250度座標: 北緯34度3分31.39秒 東経132度55分50.97秒 / 北緯34.0587194度 東経132.9308250度 |
形状 | 前方後円墳 |
規模 |
墳丘長55.2m 高さ7m(後円部) |
埋葬施設 |
竪穴式石槨2基 (内部に刳抜式木棺各1基か) |
出土品 | 副葬品・二重口縁壺形土器 |
築造時期 | 古墳時代前期前半(4世紀初頭)[1] |
史跡 | 国の史跡「妙見山古墳」 |
地図 |
妙見山古墳(みょうけんさんこふん、妙見山1号墳)は、愛媛県今治市大西町宮脇にある古墳。形状は前方後円墳。妙見山古墳群を構成する古墳の1つ。国の史跡に指定されている。
概要
愛媛県北部、瀬戸内海の斎灘を望む丘陵(標高約80メートル)上に築造された古墳である[2]。同じく丘陵上の2号墳・3号墳とともに妙見山古墳群を形成する[2]。これまでに 1990-1993年度(平成2-5年度)に発掘調査が実施されている[2][3]。
墳形は前方部が短くバチ状に開く分銅形の前方後円形で、前方部を東方に向ける[2][3]。墳丘は2段築成で、大部分は地山の削り出しにより、一部は盛土による[2][3]。段築部・墳裾部では列石が巡らされ、墳丘表面では二重口縁壺形土器・器台形土器(伊予型特殊器台)が検出されているが、葺石は認められていない[2]。埋葬施設は竪穴式石槨で、後円部・前方部に1基ずつの計2基が認められる[2]。いずれも石室主軸を墳丘主軸と平行の東西方向(西頭位)とし、石槨内からは副葬品が検出されている[2]。以上より、築造年代は4世紀初頭にあたる古墳時代前期前半頃と推定されている[1][2]。
古墳時代前期に海浜部に意図的に築造されることを特徴として、広瀬和雄らが提唱した「海浜型前方後円墳」の1つに数えられている[1]。
古墳域は2010年(平成22年)に国の史跡に指定された[4][5]。現在は史跡整備のうえで公開されている。
遺跡歴
- 1990-1993年度(平成2-5年度)、7次の発掘調査(旧大西町教育委員会・愛媛大学考古学研究室)[2][3]。
- 1995-1996年度(平成7-8年度)、史跡整備(旧大西町教育委員会)。
- 2010年(平成22年)8月5日、国の史跡に指定[4][5]。
墳丘
墳丘の規模は次の通り[2]。
- 墳丘長:55.2メートル[6]または56メートル[2]
- 後円部
- 直径:39.0メートル
- 高さ:7メートル
- くびれ部
- 幅:25.5メートル
- 前方部
- 長さ:17メートル
- 幅:33メートル(推定)
- 高さ:4メートル
埋葬施設
埋葬施設は竪穴式石槨2基で、後円部に1基(1号石槨)、前方部に1基(2号石槨)が認められる[2]。
1号石槨(後円部)は、後円部中央の墳頂に構築される。石室主軸は墳丘主軸と平行に東西方向とし、頭位は西方(後円部方向)とする[2]。石室規模は長さ6.7メートル・幅0.9-1.1メートル(西側)・深さ0.8-0.9メートルを測る[2]。内部には刳抜式木棺が据えられたと推測される[2]。この石槨内からは後掲の副葬品が検出されている。現在は保護施設に覆われて保存されるほか、天井石が墳丘外に移設され展示されている。
2号石槨(前方部)は、前方部中央の墳頂に構築される。1号石槨同様に石室主軸は墳丘主軸と平行に東西方向とし、頭位も同様に西方とする[2]。石室規模は長さ3.9メートル・幅0.7-0.75メートル・深さ0.5-0.6メートルを測る[2]。こちらも内部には刳抜式木棺が据えられたと推測され、後掲の副葬品が検出されている[2]。現在は天井石が墳丘外に移設され展示されている。
出土品
古墳からの出土品は次の通り[2]。
- 1号石槨
- 棺外:鉄剣・鉄斧・鉄刀子・鉇など
- 棺内:鏡(痕跡)
- 2号石槨
- 棺内:舶載斜縁四獣鏡(破砕鏡)、鉄器残片
- 墳丘
- 二重口縁壺形土器 - 主にくびれ部で出土。
- 器台形土器(伊予型特殊器台)
以上の出土品は今治市大西藤山歴史資料館で保管・展示されている[2]。
文化財
国の史跡
現地情報
- 所在地
- 交通アクセス
- 関連施設
-
- 今治市大西藤山歴史資料館 - 藤山健康文化公園内にある妙見山古墳の展示施設。
- 周辺
-
- 大井陵墓参考地(尊真親王陵墓参考地)
脚注
参考文献
(記事執筆に使用した文献)
- 史跡説明板
- 地方自治体史
- 『愛媛県史 原始・古代I』愛媛県、1982年。
- 第四章 第二節 四 2「古墳前期の前方後円墳 > 妙見山前方後円墳」(愛媛県生涯学習センター「データベース『えひめの記憶』」参照)。
- 『愛媛県史 資料編 考古』愛媛県、1986年。
- 四 一 四一「妙見山古墳」(愛媛県生涯学習センター「データベース『えひめの記憶』」参照)。
- 『愛媛県史 原始・古代I』愛媛県、1982年。
- 事典類
- 専門書籍
- 宇垣匡雅(著)「瀬戸内海沿岸」。広瀬和雄、公益財団法人かながわ考古学財団(編)『海浜型前方後円墳の時代』同成社、2015年3月31日、210–240頁。ISBN 9784886216922。
関連文献
(記事執筆に使用していない関連文献)
- 愛媛大学考古学研究室編 編『妙見山古墳発掘調査概報I(1990〜1991) 墳丘編 -愛媛県大西町所在-』大西町教育委員会、1992年。
- 愛媛大学考古学研究室編 編『妙見山古墳発掘調査概報II(1992) 埋葬施設編 -愛媛県大西町所在-』大西町教育委員会、1993年。
- 愛媛大学考古学研究室編 編『妙見山古墳発掘調査概報III(1993) 第7次調査 -愛媛県大西町所在-』大西町教育委員会、1994年。
- 愛媛大学考古学研究室監修 編『妙見山古墳群1号墳整備概報(1995~1996) -愛媛県大西町所在-』大西町教育委員会、1996年。
関連項目
外部リンク
- 妙見山古墳 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- 施設について > 妙見山古墳 - 大西藤山歴史資料館ホームページ
- 妙見山古墳_(今治市)のページへのリンク