大金奪取に失敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:42 UTC 版)
「北九州市病院長殺害事件」の記事における「大金奪取に失敗」の解説
その上で、SはAに対し、「金が手に入れば帰す」と言いつつ、Aから「2,000 - 3,000万円なら用意できる」と聞き出した。翌日(11月5日)9時ごろ、SはAに猟銃を突きつけ、彼の妻に対し、「高い買い物をしたので、現金2,000 - 3,000万円を車のトランクに入れて、『小倉キャッスルホテル』(小倉北区室町)まで持ってきてほしい」と電話させた。この時のAの口調は、いつもと異なり、丁寧な口調だったというが、『西日本新聞』 (1980) はその理由について、「家人に身の危険を知らせようとする精いっぱいの努力だったろう。」と述べている。 しかし、本来はまず「金が要る」という電話を掛けさせ、次いで金が用意できたところで「ホテルに持ってきてくれ」という電話を2回に分けて掛けさせる予定だったが、Aが一度に話してしまった。そのため、2人は警察への通報を恐れ、11時ごろに再びAに電話を掛けさせ、妻に「都合で場所が変わった。金を受け取る場所を『ニュー田川』(小倉北区古船場町)にしてほしい」と伝えさせた。当初は、Aの妻に「ニュー田川」前に停めた車の助手席に金を置かせ、彼女が立ち去ったところ、Yが車を取る予定だったが、Aの電話に対し、妻が「駐車違反になる」と言ったところ、Aは自身の判断で「それならホテルのフロントに預けなさい」と指示した。これに慌てたSは、次のYからの電話を待ち、Aに直接ホテルへ電話させるなどの新たな作戦を話し合うはずだったが、Yが相談しないまま、フロントに出向いたため失敗した。 11時30分ごろ、Aの妻は現金2,000万円を「ニュー田川」のフロントに預け、預り証を受け取って帰宅した。この時、Yは変装するため、Sの妻のヘアピースを着用し、かつらを被った上で、Aの妻を尾行しており、彼女が「ニュー田川」のフロントに金を預ける様子を確認した 上で、同日12時過ぎにフロントで「Aから預かっている荷物を受け取りに来た」と伝えたが、「貴重品なので、預り証がなければ渡せない」と断られた。この後、SはYからの電話を受け、新たな指示を出そうとしたが、Yは「もうだめだ。フロントに顔を見られてしまった」と言ったため、結局、2人は大金の強奪には失敗した。
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