大河内傳次郎と「丹下左膳」
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「大河内傳次郎」の記事における「大河内傳次郎と「丹下左膳」」の解説
「丹下左膳」の妖異なメイキャップ、ケレンの大立ち回りと、大河内の出現は当時の映画界で衝撃的であり、表現派風であり、カリスマ的なものだった。それはまったく型破りであり、これまでのどんな時代劇にも存在しなかったキャラクターを、独自な存在感で演じてみせた。 『新版大岡政談・第三篇』では、丹下左膳と櫛巻お藤、黒装束の一団とが「乾雲」・「坤竜」の二刀をラグビーのボールのように空高く放り上げ、それを追う人々の動きを全速移動で見せたり、櫛巻お藤が左右の屋根から屋根へ捕り方の梯子に乗って、赤い蹴出しをちらつかせながら飛び移るような変形の立ち回りでは、映画館は興奮した客の叫び声に覆われたという。 「正統派」と呼ばれる伊藤大輔の時代劇は、実は「異端」である大河内という「グロテスクな俳優」を得なくては成り立たなかった。『新版大岡政談』のあと、大河内の「風格ある演技」が確立するまでにはなお十年を要した。「丹下左膳」での初のお目見得は文字通り「鬼面人を驚かせた」のである。
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