大斎の意義と大斎中の祈祷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/27 15:29 UTC 版)
「大斎 (正教会)」の記事における「大斎の意義と大斎中の祈祷」の解説
40日間続く大斎の祈祷においては、信者は、己個人の罪を痛悔するのみならず、人間の罪が来たったそもそもの起源とそれにもかかわらず注がれる無限の神の恩寵を思い、またキリストとその受難また十字架の勝利を予告する旧約中の予表に注意を傾注させ、その成就としてのキリストの受難と復活へ向かう。禁食やその他の節制は、このような神との交わりに人間が立ち返ることを準備するためのものである。 大斎においては、シリアの聖エフレムの祝文など、大斎中にのみ行われる祈祷が多種類存在する。また時祷においても、通常と異なる祈祷文がしばしば付加される。 この期間はスボタ(安息日)・主日すなわち土日を除いて通常の聖体礼儀を行うことが許されず、平日の聖体礼儀には主日に聖変化した聖体を用いる。これを先備聖体礼儀と呼ぶ。先備聖体礼儀の祈祷文は問答者グレゴリイ(教皇グレゴリオス1世)のものであるとされている。この期間はキリストの受難を思い己の罪を痛悔する期間であるため、平日においては、「歓び」である聖体礼儀を行わないのである。同様の趣旨で大斎中は婚配機密(結婚式)も行うことが出来ない。神品の祭服は平日は黒、主日およびスボタは紫となる。また聖堂のランプシェードは通常の赤から紫に変える。 なお日本語における斎の語は神道から借用した語である。神道においては斎における禁食は食による穢れを避けるためのものであるが、正教の斎における禁食は穢れを避けるものではない。キリスト教には特定の食物を穢れたとする考え方はないからである。
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