大域切断で生成される層
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:09 UTC 版)
「豊富な直線束」の記事における「大域切断で生成される層」の解説
X をスキーム、または複素多様体とし、F を X 上の層とする。すべての F の茎が ai の芽による構造層の茎の上で加群として生成されているとき、F を大域切断 a i ∈ F ( X ) {\displaystyle a_{i}\in F(X)} により(有限に)生成されると言う。例えば、F が直線束であったとする、つまり局所自由なランク 1であったとすると、このことは有限個の大域切断を持っていることを意味し、X の任意の点 x に対し、x でゼロとならない少なくとも一つの切断が存在することになる。この場合、大域的生成子 a0, ..., an を選択することは、次の射を与える。 f : X → P n , x ↦ [ a 0 ( x ) : ⋯ : a n ( x ) ] . {\displaystyle f\colon X\rightarrow \mathbb {P} ^{n},\ x\mapsto [a_{0}(x):\dotsb :a_{n}(x)].} このときに、引き戻し(pullback) f*(O(1)) は F となる(F が X 上の有理函数の定数層の部分層のときにこの評価が意味を持つことに注意)。この逆のステートメントもまた正しい。そのような射 f が与えられると、O(1) の引き戻しは(X 上の)大域切断により生成される。 もう少し一般的な状況下では、大域切断ではられる層は、局所環付き空間 X の上の層 F で、構造層 OX は単純なタイプの場合である。F をアーベル群の層とすると、次が成立する。A を大域切断のアーベル群、つまり A = Γ ( F , X ) {\displaystyle A=\Gamma (F,X)} とすると、任意の X の開集合 U に対し、ρ(A) は OU-加群として F(U) をはる。ここに、 ρ = ρ X , U {\displaystyle \rho =\rho _{X,U}} は、制限写像である。言い換えると、F のすべての切断は、大域切断により局所的に生成される。 そのような例として、代数幾何学での R-加群 M で、R が任意の可換環で、環のスペクトル Spec(R) がある。他の例としては、カルタンの定理 Aに従うと、シュタイン多様体上の任意の連接層は大域切断ではられる。
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