夜泣き
『かるかや』(説経)「高野の巻」 あこう御前の産んだ金魚丸(=後の空海)は、胎内にある時からすでに読経をしていた。人々はこれを夜泣きと思い、「夜泣きする子は7浦7里枯るるゆえ捨てよ」と言った。
『平家物語』巻6「祇園女御」 白河院は寵愛の祇園女御を平忠盛に下賜し、院の胤である男児を、忠盛は自分の子として育てた。幼い頃夜泣きをしたので、白河院は「夜泣きすとただもり(忠盛)たてよ末の世にきよくさかふる(清盛)こともこそあれ」との御詠を忠盛に与えた。それによって、男児は清盛と名づけられた。
『源氏物語』「横笛」 深夜、夕霧の夢に、亡友柏木の霊が生前と同じ袿姿であらわれ、歌を詠み、語りかける(*→〔笛〕2a)。その時、幼い若君が夢におびえて泣き出し、夕霧は目覚める。若君はひどく泣き、乳を吐く。北の方雲居の雁は、「あなたが月を見るために格子を上げたので、もののけが入って来たのですよ」と、夕霧のせいにする。
『半七捕物帳』「お文の魂」 3歳の娘お春が、毎夜「ふみが来た」と寝言を言って泣き叫ぶ。あたかも幽霊を感知したかのごとくであったが、実は昼間に、草双紙に描かれたお文という幽霊の絵を見ておびえ、それが夢の中に出て来るのだった。母お道はこれを利用して、「自分も幽霊を見た」と作り話をする→〔離縁・離婚〕8。
*夜泣き石の伝説→〔石〕11a。
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