国内産業や雇用との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 16:17 UTC 版)
保護貿易政策は、保護された比較劣位の産業には一時的に利益をもたらす。その一方で、消費者は比較劣位財を外国と比べて高い価格で購入しなければならない。衰退産業保護政策の問題点は、衰退産業が永続した場合、産業構造の調整を遅延させる。1990年代半ば以降のヨーロッパの生産性の低迷は、各国政府の産業保護を原因とする研究がある。保護主義が勤労者個人を保護するのではなく、脆弱な産業を保護する場合に問題が生じるとする指摘もある。 国内で輸入制限などの保護主義を求める運動が起きる度合いは、国内経済の転換能力と関係する。転換能力が高ければ優位な産業への労働や資本の移動がすすむが、転換能力が低い場合には輸入制限や輸出攻勢、貿易摩擦の原因となる。 イギリスでは1815年に穀物法が制定されたものの、1816年から1820年代に深刻な農業不況が起きた事例がある。これは国内農業の生産効率が上がったために、ナポレオン戦争の終結後に国内での競争が起きたことが原因とされる。 保護貿易のもとでも経済成長が促進される事例として、19世紀のアメリカ西部開拓のように、国内市場の規模が大きかった場合がある。
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