博士取得後
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1999年に北海道大学で博士(工学)の学位を取得した後は、茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構で研究員となる。ここでは、主に、加速器から発生する中性子線を用いて、氷および水の構造とダイナミクスを研究した。この成果として、水酸化カリウムを微量に含有した氷が特異な構造を持つことを明らかにしている。 2001年に渡米し、カリフォルニア大学バークレー校の研究員となる。また、アメリカのローレンス・バークレー国立研究所の研究員を兼務した。アメリカでは、表面科学の分野で著名なガボール・ソモライに師事し、氷の表面物性に関する研究を行った。 2003年3月に帰国し、同年4月より茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の研究員となる。2005年には同研究所の研究副主幹、2012年には研究主幹に昇任。日本原子力研究開発機構では、研究所内に設置された研究用原子炉JRR-3やアメリカのオークリッジ国立研究所にある研究用原子炉HFIRから発生する中性子線を用いて、強誘電性氷の構造に関する研究を進めた。この一連の研究により、氷のメモリー効果等の新しい現象が発見された。深澤らは、氷がメモリー効果を有することによって太陽系の惑星や衛星等に大量の強誘電性氷が存在し得ることを提案している。強誘電性氷の持つ有為なクーロン力は氷天体の合体成長を促すことから、太陽系惑星の形成や物質進化の謎の解明に資する研究として注目されている。
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